眼科臨床実践講座2021 Q&A公開

眼科臨床実践講座2021にご参加いただき、誠にありがとうございました。Q&Aを公開させていただきます。

公開期間:2021年12月1日(水)~24日(金)

講座1
知っておきたい⼩児眼科・弱視斜視

森 隆史 先⽣ (福島県立医科大学)への質問

小児眼科診療のポイント

question

とても分かりやすく今後の診療に役立てようと思いました。ありがとうございました。一点質問です。
泣いてしまったりして所見が上手く取れない場合や所見がはっきりとしない場合、時期をあけて再診にすると思いますが、どれくらいの間隔(1週間、1ヶ月等)を開けてよいものでしょうか。感受性の問題もありできるだけ早くに加療したほうが良いとは思いますが、あまりに頻繁だとご家族の負担も大きく、年齢ごとの目安を教えていただけますと幸いです。

question

ご質問ありがとうございます。
眼底反射の不具合や嫌悪反応から重症な疾患がありそうだと疑った場合には、泣かせて開瞼器を使用してでも検査を行うこともあります。そうではない場合には、アトロピン点眼を1日2回7日間点眼していただき、1週間後に再診していただくことが多いです。初診時のミドリンP点眼とサイプレジン点眼後の診察とあわせて、眼底を2回診察するチャンスをつくっております。また、倒像鏡で眼底を覗かせてくれない2~3歳のお子さんでも、眼底写真やOCTなら撮像可能なことがありますので活用しております。
緊急性の無い状況が確認できた場合には、乳児の場合、とくに両眼視機能が発現するまでの生後6ヶ月までは、1ヶ月に1度は来院いただき眼位と左右の視反応と眼位を確認しております。恒常性の斜視がある場合や調節性内斜視の発症時には即治療介入となりますが、間欠性外斜視や代償頭位で両眼視を維持している先天上斜筋麻痺などでは、自宅で視力検査の練習を行っていただきながら、「眼科では痛いことをされない」と教え込んでいただき、1ヶ月ほどで再診しております。

林 孝雄 先⽣ (帝京大学)への質問

複視のみかた

question

非外傷性の滑車神経麻痺の場合はメコバラミン錠などで様子を見ることが多いのですが、どの位の期間改善が無い場合は手術もしくはプリズム眼鏡をすすめるべきでしょうか。
また、外傷性の場合でもまずは内服などによる経過観察で大丈夫でしょうか。

question

一般的には、麻痺性斜視が6ヶ月以内に自然治癒しなければ、90%以上は治らないと言われていますので、6ヶ月を一つの目安としています。ただし、本人が複視で辛ければ、早めにプリズム眼鏡を作ったり、片眼遮閉をしたり、オクルアという半透明なレンズの眼鏡を掛けたりして、凌いだりします。

question

とても勉強になりました。ありがとうございました。
Cyclophorometerを持っており使わせていただいてとても役に立っております。
患者さんにプレートを持っていただいたり、自分で持って測定したりするのですが、視線に対してプレートを真っすぐ保持を心がけているのですが、どうしても上や下に傾いてしまったり、斜めになったりしてしまうことがあります。測定結果に大きな影響はありますでしょうか。
大変お忙しい中申し訳ありません。ご教示いただけましたら幸いです。

question

顔の面とCyclophorometerの面が、少々傾く(例えば、上部が額に近づき、下部が頬から遠ざかる)場合は、大きな影響はないと思いますが、斜めに当てた場合(例えば、右が上がり、左が下がっている)は、正確な測定結果にはならない可能性がありますので、注意が必要かと思います。

question

散瞳と斜視がある場合はすぐMRIを外来ではオーダーし脳外科へ院内紹介するのですが斜視のみの場合はMRIをとるのか?いつも迷います。
この方向の斜視やどの程度でMRIを撮影するのかといった林先生の判断基準がありましたらご教示いただけますと幸いです。

question

例えば甲状腺機能亢進症や重症筋無力症があり、内科で診てもらっているような場合を除いて、後天性の斜視の原因がはっきりしないときは、MRIをオーダーするようにしています。

question

ご丁寧な説明ありがとうございます。
2例目の両眼滑車神経麻痺の症例ですが、右向きの時に左眼、左向きの時の右眼が上転していないのはどうしてでしょうか?

question

2例目は、右眼の滑車神経麻痺で、左方視で右眼が上転していますので、それではなく、3例目の両側性の滑車神経麻痺のことを質問されておられるのだと解釈し、お答え致します。3例目の症例は両側性ですが、左右同じ程度に麻痺しておらず、若干右眼の麻痺の方が強かったようで、左方視をしたときに右眼が軽度上転していました。ただし、両側性の滑車神経麻痺の場合、麻痺眼の内下転不全は全例にみられますが、拮抗筋である下斜筋過動様の症状(内上転過剰)がみられない症例は経験します。みられない原因は分かりませんが、両側性なので目立っていないだけなのかもしれません。その分、下斜筋過動の回旋作用が強く出て、外方回旋偏位が大きくみられるのかもしれません。

question

大変勉強になる御講演ありがとうございました。
日常診療で急性発症した斜視を見た場合、頭部CTはすぐ撮れても頭部MRIは混雑していてなかなか撮れない場合がよくあります。教えて頂いた散瞳している動眼神経麻痺疑い以外で、緊急で頭部MRIを撮った方がよい眼所見がありましたら教えてください。
また、急性発症の斜視は全例頭部MRIを撮られますか?

question

眼所見としては、充血を伴う全眼筋麻痺では内頸動脈海綿静脈洞瘻などを疑い、もしもMRIがすぐ撮れなければ、CTをオーダーします。また、外眼筋炎や甲状腺眼症などを疑ったときにも、眼窩のCTやMRIをオーダーします。急性発症の斜視で、明らかな原因が分からない場合は、原因検索のため眼窩〜頭部の画像検査は全例行います。

question

両眼複視をうったえられる高齢の患者さんでHessをとると、滑車神経の不全麻痺のような所見がかなり高い頻度でみられますが、これはどう解釈したらよいのでしょうか。

question

Hessで滑車神経不全麻痺の所見が出るのであれば、それは、滑車神経不全麻痺と思われます。私は、それほど滑車神経不全麻痺の高齢者が多いという経験はしておりません。もしかしたら、最近では、sagging eye syndromeと言われる、眼窩プリー(pulley)の加齢変化で、上転障害や外方回旋、内斜視などの眼位ずれが生じる疾患が取り沙汰されています。滑車神経不全麻痺とは異なりますが、その可能性はありませんでしょうか。

question

Cyclophorometerはお幾らぐらいで購入できるのでしょうか?
保険点数は取れますか?

question

税込み5万円弱だと思います。南旺光学株式会社という、子どもメガネのアンファンのオグラ眼鏡店の系列会社で販売しています。学会の器械展示のオグラ眼鏡店の所でも購入できると思います。保険点数は回旋斜視であれば、眼筋機能精密検査及び輻湊検査 48点が請求できるはずです。なお、請求にあたっては各自治体の方針をご確認ください。

講座2
網膜診療の最新情報

柳 靖雄 先⽣
(お花茶屋眼科/横浜市⽴⼤学/Duke NUS Medical School)への質問

加齢⻩斑変性の潮流

question

抗VEGF薬硝子体注射について質問です。DMやRVOによるCMEは抗VEGFが効きづらくても、ステロイドが効くことがあると思います。そのことを踏まえ、STTA +IVAといった具合に、同時に使用した場合、眼圧上昇等注意するべきことはあると思いますが、両方の効果を得ることができるので有用なのではないかと思いますがいかがでしょうか。

question

理論的には効果があってもおかしくないのですが、ステロイドのAMDに対する効果は解剖学的には若干効果があるものの非常に限られたものであると示されています(PMC8243190)。リスクとベネフィットを勘案の上、通常はSTTAは行いません。

question

PAMMを引き起こす原因については、どの様にお考えでしょうか?
また、それに対する治療について教えて下さい。

question

原因の詳細は明らかでありませんが、中間あるいは深層の網膜血管虚血であると考えられています。確立した治療はないのですが、炎症が関与すると考えられ、自然回復が見られない場合にはSTTAなどを考慮することもあります。(ご興味あればPMID: 32661700などを参考にされると良いと思います)

question

貴重なご講義ありがとうございました。大変勉強になりました。
配布資料のスライド13の部分で、「パキコロイドによるPEDを経過観察し、滲出液の出現に伴いAMDとして加療する。」という旨のお話がありました。ここに関して、診断としてAMDに変更するのか、治療としてAMDと同じ事をするのか、どちらかの意味合いでしょうか。お時間あればご教授いただければ幸いです。

question

厳密に病態から考えpachychoroid neovasculopathyとAMDのMNVを分ける立場の先生もおられます。しかし、一般的にはパキコロイドによる新生血管から滲出性変化をきたした場合、AMDと考えて、そのように診断、治療するのが良いと思います。(Yanagi et al., JJO 2020などを参考にしてください)

question

大変わかりやすい御講演をありがとうございました。
先生が行われているT&Eのやり方を具体的に教えて頂けましたら、参考になります。

question

いわゆる"mTAE"を行なっております(PMID: 27743159)。導入期治療が終わったのち、一月ごとに観察を行い、再発時期を見極めます。再発した場合、最終投与から初回再発時までの期間をベースとしたTAEを行います。調整幅は2週間が良いと考えています。また、導入期の投与から3ヶ月経った場合には、3ヶ月ごとの固定投与などを勧めます。16週まで治療間隔を延長すると再燃のリスクのみならず、網膜下出血のリスクも上がるとされていますので、最大で12週までの延長にしています。

古泉 英貴 先⽣ (琉球大学)への質問

画像診断の潮流

question

OCTAについて質問です。NPAは黒く抜けて見えるので、分かりやすいと思いますが、レーザーした部位はNPAと同じように写るのでしょうか。

question

レーザーを行う部位は通常はもともと血流のない網膜外層がターゲットになるので、写らないと思います。

question

PAMMのen face 画像診断、とても参考になりました。白斑が消失すると小虚血部はわからなくなると思いますが、この画像診断は発症後時間がたっても可能でしょうか?
あるいは時間とともに所見が変わりますでしょうか?

question

時間が経過すると高輝度病変が目立たなくなり、わかりにくくなります。Bスキャンでみると内顆粒層が薄くなるケースが多く、そのような所見から過去のPAMMを推測することになります。

question

black on whiteのOCTをスライドで使う利点というのはあるのでしょうか。一般眼科医には、black on whiteでみることはほとんどなく、慣れているwhite on black表示でないと、一旦反転して考える手間があり、慣れればいいのでしょうけど、直観ではEZやINLの確認程度でも、一瞬時間がかかり、高反射と言われても、瞬時に分かりにくいのですが、網膜専門の先生がスライドや診療で、black on whiteを使われるのは、それなりの理由があるのだと思いますが、その理由が知りたいです。

question

今回の講演でのblack on white画像は既報に掲載されている画像を引用したものです。網膜の層構造の細かい部分はその方がわかりやすい、と仰る先生もおられますが、私個人的にはwhite on blackを好んでいます。

門之園 一明 先⽣ (横浜市立大学)への質問

硝子体手術の潮流

question

最先端の硝子体手術に関してわかりやすくご講演頂きありがとうございます。
黄斑円孔での網膜移植の網膜はどこから採取するのでしょうか?

question

現在自家移植術では下耳側および周辺部の2か所から採取するのが一般的です。

question

自家網膜移植は、黄斑円孔になり長期を経過した患者さんにも適応があるでしょうか?
おおよそどのくらいの時期なら手術を試みる価値があるでしょうか?
またOCT所見などで治癒する可能性が高い方の特徴などを教えて下さい。

question

自家移植の閉鎖率は約80以上です。このため、閉鎖を目的とした場合は、長期の円孔でも有効です。しかし、視機能の改善はRPEの萎縮のため十分には得られません。発症から2-3年以内のMHは症例に組み込まれています。円孔のREPの性状に術後視機能は影響されます。このため、強度近視眼、RPEの損傷がすでに見られる症例の術後視機能の改善は不良です。一方、初回手術の円孔の視機能の改善、若年者の円孔(外傷)の術後視機能の回復は良好です。

講座3
緑内障の危険因⼦を考える

中澤 徹 先⽣ (東北大学)への質問

緑内障危険因子である血流低下のメカニズムと対処方法

question

爪床血流測定はどのようにして行いますか。

question

あっと株式会社の血管美人という装置で測定しています。

齋藤 瞳 先⽣ (東京大学)への質問

緑内障危険因子として、近視の観点から
~その目ただの近視?緑内障?~

question

講演の最後の方で強度近視眼57歳男性のOCT所見がでていました。近視の強い方ではこの症例のように視神経鼻側に、視神経線維の広範な菲薄化がみられることが多いですが、これは強度近視のため上手く撮影できないために、見られる所見なのでしょうか?あるいは本当に神経線維が薄くなっているのでしょうか?もし後者であれば、どのうように対応すればよいでしょうか?ご教示お願いします。

question

ご質問ありがとうございます。近視眼では乳頭の傾きも大きくなると鼻側が盛り上がるように傾くことが多く、OCTの参照光の入り方が耳側と異なることもあり、artifactが多くなるのではと言われています。鼻側のみの菲薄化は緑内障性変化ではないので、治療の判断にはあまり関わらないと考えています。ただ、鼻側の菲薄化が上方の菲薄化と連続しており、上方から上鼻側のrim菲薄化が認められる場合はSSOH(superior segmental optic hypoplasia)が疑われます。SSOHは原則先天的変化で進行しないと言われていますが、経過観察は必要と思われます。

中元 兼二 先⽣ (日本医科大学)への質問

緑内障点眼治療の危険因子、副作用の観点から

question

大変わかりやすいご講演ありがとうございました。線維柱帯切除術前に結膜状態を改善させる方法について詳しく教えていただきたいです。

question

ご視聴いただきありがとうございました。多剤併用治療により結膜充血・濾胞性結膜炎を呈していることが多く、中心視野消失の危険が少なければ、術当日まで、できるだけ塩化ベンザルコニウムを含有していない薬剤(PG/βなど)1〜2剤+ベタメタゾンPF3回などとしています。アセタゾラミド内服を併用することもよくあります。1〜2週間、多少眼圧上昇しても私はレクトミーをやるのであれば消炎を優先します。

question

貴重なご講演をありがとうございました。以下2点質問です。

PG関連製剤を使っている患者さんが、経過中にphakiaからPsudophakiaになった際、PG関連製剤は中止されていますでしょうか?

点眼による結膜炎は、どのような所見で実際には判断されておりますか、また術前の具体的な結膜炎治療について教えて下さい。(点眼の中止、抗炎症点眼追加など)

question

ご視聴いただきありがとうございました。

白内障術後1週間程度はPGを含まない薬剤(配合剤など(場合によってはアセタゾラミド))を処方していますが、1週間以降はPGを含む薬剤を使用開始しています。

多剤併用治療により結膜充血・濾胞性結膜炎を呈していることが多く、中心視野消失の危険が少なければ、術当日まで、できるだけ塩化ベンザルコニウムを含有していない薬剤(PG/βなど)1〜2剤+ベタメタゾンPF3回などとしています。アセタゾラミド内服を併用することもよくあります。1〜2週間、多少眼圧上昇しても私はレクトミーをやるのであれば消炎を優先します。

question

点眼薬由来の角結膜炎症などに対して、薬剤を減らすこと、中止する事は当然でしょうが、眼圧維持の観点から眼圧降下剤はそのままにして、消炎のためにステロイド、非ステロイドなどの消炎目的の治療は、行って良いとお考えですか。角膜保護剤やドライアイ治療薬の併用などはどのように考えたら良いでしょうか。

question

ご視聴いただきありがとうございました。
ご指摘のように、副作用があれば薬剤中止が原則ですが、なぜか結膜炎をひき起こした原因と思われる薬剤がその患者さんにとって大変眼圧下降がよいということはよく経験します。患者さんもその薬剤が自分の眼瞼炎や結膜炎の原因であることがわかっていても眼圧下降がよいので患者様のほうから変えたくないと訴えてくる場合もあります。その場合は、しばらくはベタメタゾンPFやステロイド眼軟膏を併用しながら、角膜混濁などのさらなる合併症が発現してこないかを確認しながら治療を継続する場合があります。角膜保護剤は原則使用したくありませんが、使用するなら塩化ベンザルコニウム非含有のものをお勧めします。

question

線維柱体切除術の前に結膜の状態を改善させるため1~2週間前から緑内障点眼を中止する場合があると後藤先生とのやり取りの中でおっしゃっていましたが、手術にいたるような方は通常緑内障点眼を複数使用しておりそのうち特にどの薬剤を中止するのか、また点眼中止の代わりにアセタゾラミド内服を併用するかなど注意点などありますでしょうか。

末期緑内障で点眼を減らすのは難しい状態で点眼の副作用で眼瞼炎をきたしステロイド眼軟膏を併用していることもあると思われます。ステロイドの副作用で眼圧上昇の可能性もありできれば使用したくはないですが緑内障点眼を中止するのも難しい場合、先生は普段どのように対処されているかお聞きしたいです。

question

ご視聴いただきありがとうございました。

多剤併用治療によりひどい結膜充血・濾胞性結膜炎を呈している場合は、中心視野消失の危険が少なければ、術当日まで、できるだけ塩化ベンザルコニウムを含有していない薬剤(PG/βなど)1〜2剤+ベタメタゾンPF3回などとしています。中心視野障害が高度な場合や眼圧が30mmHg以上では、アセタゾラミド内服を併用も考慮します。1〜2週間多少眼圧上昇しても私はレクトミーをやるのであれば消炎を優先します。

末期緑内障の場合、まずはできるだけ、塩化ベンザルコニウムを含有していない薬剤(タフロプロストミニなどのユニットドーズのもの、ラタノプロストPF,ニプラジロールPFなどのPFシリーズ)を中心に、いろいろ併用して対処しますが、ダメな場合は、例えば、眼圧が14mmHg以下と低い場合は、レクトミーの希望がなければ、エビデンスにおいて乏しいですが、私の場合はまず、SLTを施行して、眼瞼炎の疑いの強い原因薬剤を中止します。眼圧下降がなく、むしろ上昇する場合はやむなくレクトミーをします。眼圧がハイティーンならSLTあるいはMIGS,(消炎の後レクトミー)を施行します。

講座4
角結膜手術の現状を整理しよう

加瀬 諭 先⽣ (北海道大学)への質問

翼状片手術

question

貴重なご講演ありがとうございました。
白内障併存の際、翼状片手術を施行してから白内障手術をすることが多いと思いますが、翼状片手術後どの程度の期間を空けるのが望ましいでしょうか。また白内障手術の際の注意点等も教えていただけますと幸いです。

question

ご質問ありがとうございました。翼状片術後1ヶ月で角膜の形状が改善し、安定化しますので、最低1ヶ月空けますと、IOLのターゲットもより正確に測定できて、術後の屈折誤差も軽減できると思います。また翼状片の存在した部では、ボウマン膜が障害を受けていることが多く、角膜上皮や実質が脆弱と考えられますので、自己閉鎖創部に問題が生じることがありますので、翼状片のあった部位を避けて白内障手術を行います。初回の翼状片の術式によってはかなり結膜と強膜の癒着が強くなっている症例もありますので、そのような症例では強角膜切開が困難になることがあります。

question

翼状片で使用する糸はバイクリル、ナイロン、シルクどれが1番良いでしょうか。

question

ご質問ありがとうございました。バイクリルは組織の閉鎖、保持に強い威力を発しますが、必ず術後炎症が出ますので、術後1週間ほどで抜糸が必要になります。結膜のみの縫合では私は使用しておりません。ナイロンは炎症が出ないので、術後管理には適しておりますが、結膜などのゆるい組織の縫合・接着にはあまり向いていないのではないかと考えております。翼状片の縫合は上皮と上皮とをタイトに接着させることが重要ですので、もしナイロンを用いる場合には、練習が必要と思います。用いるとしたら角針がいいでしょう。個人的にはシルクを用いております。抜糸の必要が基本的にはなく、術後炎症もあまり出ず、2−1で縫合すれば、縫合された組織の離開もないので、扱いやすいと思っております。

難波 広幸 先⽣ (山形大学)への質問

その他の結膜手術

question

リンパ嚢胞に対する処置のお話がなかったようですが、対処法をお教えください。

question

リンパ嚢胞については文献も少なく、私個人も手術の経験はございません。
結膜やテノン嚢ごと切除していることが、比較的多いようです。ラジオ波で焼灼する、という報告もありました。

講座5
眼形成と小児涙道閉塞のアップデート

林 憲吾 先⽣ (横浜桜木町眼科)への質問

眼瞼手術のポイント
~眼瞼下垂と内反について~

question

下垂手術に使用された糸をお教えください。MTとAAも8-0バイクリル使用です、先生はすべてナイロン糸ですね?太さと針も知りたく、品番を教えていただけますか。
ESの品番、Hotzの瞼板縫合糸の品番もお願いいたします。

WESを過矯しないための最内側の通糸点はどこでしょうか。ES2本の一本は鼻側でOKでしょうか。

再発時LTS追加で、先のWES糸を切らないために、WES外側で通糸しない範囲もありますか。

Hotz変法で、剪刀先を瞼縁に透見するまで眼輪筋を瞼板上剥離しますがこの操作は不要ですか。先天睫毛内反はLERの過剰であって、LER牽引を外して治癒させるのですね?睫毛側は眼輪筋を瞼板前面に縫着せず、下縁に縫着するのみですね?

question

当院で使用しております針糸ですが、下垂は、クラウンジュン 6-0ナイロン ND536A 黒と青です。2点前転する際に、青と黒、色が違うほうが識別しやすいので、2色使用しております。Hotzも同じ6-0ナイロンの青です。下眼瞼の埋没は、クラウンジュン 4-0 白ナイロン NB074です。

WESもESも最内点は、涙点より 約5~6mm 耳側です。LCTが緩すぎる場合は、過矯正とならないように、最内点は瞳孔中央にしますが、その場合、再発率が高く、LTSを追加することが多いです。

LTS追加する際に ESの糸を切ってしまう可能性は、確かにありますが、まだ切ったことはありません。

Hotzの際に、睫毛側の眼輪筋を剥離というより、ある程度幅の眼輪筋を切除します。先天性の下睫毛内反でLERの切離は、引き込みが強い重度の内反のみに施行します。Hotzの中留は睫毛側の真皮と眼輪筋を瞼板下縁へ縫着します。

question

眼瞼下垂の手術後に直乱視化する理由がわかりません。術後は角膜への圧迫がとれて露出が増えるため上の圧迫が解除されると倒乱視になるような気がするのですが。すみません、勉強不足で。どうか教えてください。

question

下垂した眼瞼により上方角膜が圧迫されており、下垂OPEにより圧迫が解除され、角膜直乱視が軽減することが予想されますが、実際はある程度のボリュームの挙筋群が瞼板へ前転されると、そのボリュームで上方強膜を圧迫し、直乱視化するものと思われます。この点の考察は、眼科手術学会雑誌に原著論文として、近日中に掲載されますので、機会があれば、ご高閲いただけると幸いです。

講座6
白内障診療・屈折矯正はここを押さえよう

佐々木 洋 先⽣ (金沢医科大学)への質問

白内障眼の視機能

question

2点質問です。
コントラスト感度、実用視力、収差、Straylightについて、それぞれ専用の測定器具がない場合、一般クリニック、病院にて代用できる方法はありますでしょうか。
透明水晶体眼の加齢変化による視機能低下に対し、白内障手術は有効なのでしょうか。

question

いずれの検査も専用の機器が必要です。代用できる方法はなく、測定機器を準備するしかないと思います。ただ、白内障手術を行っていない施設であれば、これらの機器は必須のものではありません。細隙灯顕微鏡での水晶体混濁の評価をしっかり行えば、多くの症例で手術適応かどうかの判定は可能だと思います。手術を依頼する紹介先の施設で、これらの検査を必要に応じて施行していただき、最終的な手術適応判定をしてもらえば良いと思います。
加齢水晶体では矯正視力は良好でも、乱視や屈折値の変化による裸眼視力の低下、コントラストの低下、調節力の低下、高次収差の増加、Straylightの増加などによる視機能障害を生じますので、白内障手術は有効です。現在の白内障手術は屈折矯正・老視矯正の意味合いも強く、手術により患者のQOLは著しく向上することが多いので、非常に有効だと思います。

鈴木 武敏 先⽣ (鈴木眼科吉小路)への質問

眼鏡処方のポイント

question

早速オーバースキアを取り入れたいと思います。

基本的なことで申し訳ございませんが、収束光は最も細いスリットにすればよろしいでしょうか?

患者さんの固視点は遠方または板付きレンズ部でしょうか?

近方だと調節麻痺薬を使用していなければ縮瞳しますが、その状態で判断するという事でしょうか?

question

収束光線の交差する点をできるだけ近い所にセットします。要するにスリーブを極限までずらします。ハイネのスキアの場合は1番上にまでずらします。下にずらすと平行を越すと開散になります。スキアの構造によってはスリーブの上下で開散、収束が逆になるものもあります。

患者さんの固視点はできるだけ遠い方が良いのですが、3メートル程度で問題はありません。そしてできるだけ半暗室で行います。

スキアは基本的には調節麻痺剤を使用しません。調節麻痺剤を使用するとかえって収差のために判断が難しくなります。また、子どもが近くにピント合わせができるかの検査目的で行う動的スキアは、調節麻痺剤を使うと判定できません。